ケーススタディ(2)買いかえ数年後に再度買いかえる場合(売却)

一度買いかえ、数年後に再度、買いかえる予定がある

 20年前に購入した住まいを5,000万円で売却し、6,000万円の予算で買いかえる予定です。譲渡税はいくらになりますか。
  なお、売却予定の土地の取得費は660万円、建物の取得費(償却済)は100万円、売却費用は160万円の予定です。また、数年後に再度、
  買いかえる予定があります。
 「特定の居住用の買いかえ特例」か、「3,000万円の特別控除」と「低率分離課税」のいずれかを選択することができます。
  この買いかえ特例は所有期間10年超(売却する年の1月1日現在)、居住期間10年以上で、購入物件も建物50m²以上、土地500m²以下
  などの条件がついています。あなたのケースがこれらすべてに該当するなら、「居住用の買いかえ特例」が適用されるため、
  5,000万円-  6,000万円=ゼロ となり、譲渡所得税や住民税はかからないで済みます。
  注意しなければならないのが、この特例を受けた後、再度、売却した場合の取得費の問題です。買いかえ特例は免税措置ではなく、
  取得費を引き継ぎにする課税の繰り延べ制度のため、あなたのケースでは、6,000万円が取得費ではなく、
  760万円+160万円+1,000万円(6,000万円-5,000万円)の合計1,920万円が、新規の買いかえ資産の取得費となる点です。
  このため、再度の買いかえを考えている場合では、この特例ではなく「3,000万円控除」を選択した方が有利になる
  場合もあります。

計算例
「居住用の買いかえ特例」を適用した場合
譲渡所得課税所得=5,000万円-6,000万円=0
従って譲渡税はゼロ
その後、仮に「5年超~10年以内に売却し、7,000万円で買いかえた」場合
譲渡所得 7,000万円-( 1,920万円(取得費)-160万円(売却費用) )-3,000万円(特別控除)=2,240万円
所得税  2,240万円×15.315%=343.05万円(1)
住民税  2,240万円×5%=112万円(2)
譲渡税合計(1)+(2)=455.05万円

計算例
「居住用の3,000万円控除」と「低分離課税」を適用した場合
譲渡所得 5,000万円-( 760万円(取得費)-160万円(売却費用) )-3,000万円(特別控除)=1,400万円
所得税  1,400万円×10.21%=142.94万円(1)
住民税  1,400万円×4%=56万円(2)
譲渡税合計(1)+(2)=198.94万円